先日、2021年2月12日に事業再生に15年間以上取り組まれている弁護士の方にお会いしてきました。
きっかけは過去に1度ご挨拶をしたことがあったのですが、改めて弁護士の方が僕のこのウェブサイトを見てくださってコンタクトを下さいました。
なかなか更新頻度も上がっていませんが、少しずつお問い合わせなどもいただくケースも増えており、ウェブサイトを作った効果が出てきたと実感しています。
とても楽しく時間が過ぎていったのですが、「会ってよかった」だけだともったいないと思い、僕が知ったこと、学んだこと、感じたことを記事にしてみました。
この記事はあくまでも、お会いした際に感じた僕個人の主観であるという点は予め記載しておきます。
この記事をご覧頂き、僕(山邊)に興味を持ってくださった方は、是非お気軽にお問い合わせください。場所に応じて、オンライン、オフラインでお会いさせてください。
ウェブサイトやメルマガなどは信頼関係の基礎を作ってくれる
今回お会いした弁護士の方とは、過去に一度名刺交換をしたことがあるのみでした。
このため今回お会いしたのが2回目であり、本当の意味での会話やコミュニケーションを取らせて頂くのは初めてでした。
でも、お互いに最初から話がとても弾みました。
というのは、その弁護士の方はメルマガを配信されており、私はそのメルマガを毎回読んでいました。
メルマガには、その弁護士の方の、専門的な知識や見解、その方の仕事感、考え方、日常生活の出来事などの情報がたくさん入っていたため、僕はそのメルマガを通じて、その弁護士の方を具体的に想像することができていたためです。
そのメルマガはとても専門性が高くて、私の再生の仕事をしているような者にはとても有益な内容なので、毎回読んで勉強させて頂いていました(これは社交辞令ではなくです)。
また、僕のウェブサイトは、僕個人のことを知って頂くことを押し出した作りにしているので、この弁護士の方も、私の情報をたくさん見てからコンタクトを下さいました。
初めてお話しするにもかかわらず、お互いの情報をある程度知った上で、そして基礎的な信頼関係がなんとなく築けた状態で、「今回はさらに信頼関係を築いていくためのコミュニケーションが目的」というのを暗黙知として進んでいきました。
このため、かなり具体的な個人的な話、仕事の話となり、とても密度の濃い有益なコミュニケーションの場となりました。
ウェブサイトの作成、メルマガの配信などはとても時間がかかるものですが、相手との信頼関係を埋める手段としては価値が高い、というのを改めて実感しました。
そもそも自分の仕事として何をするのか
弁護士の方とお話をする中で、仕事観についてとても共感できました。
その弁護士の方は、15年以上にわたり再生の仕事をされておられ、本当にプロフェッショナル中のプロフェッショナルでした。
通常、弁護士に依頼がくる仕事の中には、交通事故、離婚など色々なもめごとの案件が多いそうですが、ある時期を境に、仕事の絶対量(端的に言うと売上/収入)は減っても、自分が心血を注げる仕事として、企業再生をメインにされたということでした。
(良い仕事、悪い仕事の選別という意味ではなく、その方個人の特性として、自分が興味を持って力を注げる仕事として再生の仕事を選んでおられるという意味です)
事業再生は、様々な理由から資金繰りが苦しくなってはしまったが、そんな状況でも「自社の存続をかけて命をかけている社長を支援する仕事」になります。
会社がなんとか生き残っていくためには、
- 自社の製品サービスがもっともっと売れるように、得意先やお客さんに営業やアピールを全力でしないといけない
- 一緒に働いてくれる従業員に働きかけて、営業や生産面などにおいて、今以上の成果がでるように改善をしていかなければならない
- 場合によっては、仕入先にも可能な範疇で、価格を下げて頂く、支払サイトを長くして頂くなど、頭を下げてお願いしなければならない
- 資金繰りを支えてくれている金融機関に、適切に情報開示をして、継続的な資金繰り支援をお願いしていかなければならない
こんなことが必要になってきます。
得意先、従業員、仕入先、金融機関などの多くの利害関係者との関係のバランスをうまく取りながら、事業を継続していく必要があり、仮にそのバランスが崩れ、うまくいかないと会社は存続することができず、各利害関係者に多くの迷惑をかけることになります。
大変だけれども、うまく行った時には、社長やその従業員らと一緒にガッツポーズができる。
こんな再生の仕事にプライドを持って取り組んでおられ、とても尊敬するとともに、共感しました。
- 自分が全力を注げることを仕事にする
↓
- だからこそ、お客さんや紹介者からも信頼される
↓
- 仕事でよい結果が出る
↓
- さらに次の仕事にもつながる
↓
- たくさんの経験を得ることができ、もっと専門性が高まる
このようなループを作ることで、自分がしている仕事にプライドを持つことができ、自己実現と社会への価値提供のベクトルを合わせることができる、というのは間違いないと感じます。
中小企業の再生に携わっていて感じる課題感
再生企業の社長と接していて、ここまで財務的に痛む前に、もっと取り得る策があったのに適切なタイミングでできていなかった、と感じる時が一番残念な気持ちになります。
・社長にもっと強く客観的な意見が言える人がいればこうならなかったのに
・もっと早くリスケジュールをしておけば、手許に資金が残ったのに
・金融機関に誠実に向き合うことなく、安易に粉飾に手を染めてしまった
・高利の通常ではない融資を受けてしまい、手がつけられなくなっている
・一部の金融機関が積極的に債権の回収に動き出してしまっている
こんな例は星の数ほどあります。
学校教育において、お金のことや金融機関との付き合い方などは一切教えてくれません。
ましてや、借りたお金が返せそうにない資金繰りに困った際の対応などは、普通では知識を得たり、経験することがありません。
中小企業の社長が、人生において何度も資金繰りに困って再生局面に陥るというのはないかと思います。中小企業の社長が、再生のノウハウを学び、蓄積するのは難しいし、それよりもむしろビジネスを作ったり、売上を作ることが本来すべきことです。
このため、プロフェッショナルとして企業を支える会計事務所、税理士、公認会計士が、資金繰りに困った中小企業の社長に対してアドバイスし、会社の状況を見極めて、
- 自社の収益力の回復のみでいけるのか
- 自社のみでリスケジュールをするのか
- 中小企業再生支援協議会などのスキームを取るのか
- スポンサーを探すのか
- 法的な再生手法を取りうるのか
- 経営者保証ガイドラインを活用するのか
- 破産などの手法を取るのか
- あるいはこれらの合わせ技でいくのか
- これらを進めていくためには弁護士の協力も得てやっていくのか
こういった判断材料を社長に提供し、社長に十分に納得してもらった上で、意思決定をしてもらう、というような環境がもっと整備できれば良いなと常々感じています。
中小企業にとって、会計事務所というのは重要な存在であり、非常に頼りにされています。
会計事務所、税理士、公認会計士が、社長が持っていない知識やノウハウを補完し、時には厳しい意見も伝え、中小企業の資金繰りを支えるセーフティネットのような存在になって欲しいし、そのような環境を作ることに少しでも貢献できればと。
厳しい再生の現場で仕事をされている弁護士の方の話を聞き、改めてそのように感じました。