今回は、会社の規模が小さいうちから、少しずつExcel管理を見直して、それに代わるシステム化をしていきましょう!というお話です。(もちろんExcel管理が自社にマッチしている場合には、それを変える必要はないと思います)
急成長している会社、外部から見るとすごい売れているサービスや商品がある会社・・・だけれども管理部門を見ると、紙がとても多い、そしてすごい数のExcelファイルで仕事を進めている、作業に追われている、こんな状況によく出くわします。
Excelは素晴らしいツールですが、一方で使い続けると課題も生まれてきます。
なんでもできるExcelのわな
誰でも一度は触れたことのあるマイクロソフト社のExcelは、本当に便利なツールです。5年、10年前と比べると利用頻度は減りましたが、私もまだまだ使っています。
どんな表も簡単に作ることができますし、関数での計算能力も抜群に高く、その汎用性の高さからExcelさえあれば、どんな仕事もこなしていけると言っても過言ではないぐらい素晴らしいものです。
このため基本的にはどんな会社も事業を開始した際には、一番コストのかからないExcelで仕事を管理していくことから始まります。
例えば、借入のために銀行に提出する事業計画であったり、売上を管理するシートであったり、顧客管理データベースであったり、現金を管理するための現金出納帳であったり、場合によっては給与計算もExcelでするケースことあります。挙げるとキリがないぐらい、まずはExcelで業務が管理されています。
お金がない事業開始時は、これはむしろ通常のことで、全く悪いことではありません。
でも、多くの方が既に経験されている通り、事業が大きくなるにつれて、管理する情報も増え、人も増えてくると、乗数的にExcelファイルの数が増えていきます。
少人数で情報を管理していくためには、便利だったけれども、その汎用性の高さから、自由にファイルが作られ、最新のファイルがどれかわからない、誰が更新したのかわからない、などの状況に陥ることがよくあります。
Excel(office)に対して個人的になんだかなぁと思うこと
officeは、Microsoft365などのクラウド版もありますが、まだまだ中小企業を中心にインストール型のofficeを使っている会社が多い印象です(あくまでも個人としてそのように感じているという程度で統計などに基づくものではありません)。
Amazonでofficeを購入すると、インストール型で35000円程度に対し、Microsoft365 Business Standard(デスクトップ版のofficeアプリ付きのプラン)は1カウント月約1,500円(税込み/2020/11月時点)のため、約2年で同じ値段になるため、PCを2年以上使うことを考えると、インストール型の方がコスパが良い、という判断が働いているものと思います。
このため、クラウドという選択肢があるにも関わらず、各人が気軽に自分のPC内に、Excelファイルをコピーしたり、新しいExcelファイルを作ることがまだまだ行われていると思います。
また、相変わらずメールでファイルを送り合うということが行われていて、ファイルが増殖するとともに、最新版ファイルがわからなくなるという問題も発生しています。
なお、マイクロソフト社は無料で使えるWeb版のoffice onlineを提供しています。これであれば、マイクロソフトのアカウントを作るだけで、複数人で同時に共同作業も行うことができます。
ただ、機能が制限されているため、高機能で使い慣れたExcelのイメージとは違っており、個人的には有料版のofficeの方が生産性が上がるので、仕事ではあまり気持ちよく使えないなぁという印象を持っています。
世間を席捲したofficeのクラウド版ができたにも関わらず、まだまだインストール型が多く使われていることを考えると、マイクロソフト側の値付けと機能提供のバランス、そしてユーザー側の意識がもう少しすり合ってくるとよいなとは感じています。
社長マインドでは管理部門への投資は控え目に
話を少し戻しますが、基本的に社長は、アクセル役なので、どちらかといえば守りの仕事である管理面の仕事に目を向ける時間がないことが多いです。
また、特に会社が小規模なうちは、コスト意識が特に強く、少しのコストでも押さえたいという思いがあります。
このような社長のマインドから、
例えば製造業であれば、最新の製造設備に対する投資は意欲的であったり、サービス業であれば、顧客管理システムや広告宣伝に対する投資は意欲的であったりしますが、管理面への投資はほとんど目を向けないというのが普通です。
管理部門側からもっとシステム化をしたい、と言っても、社長が「コストをかけられないからExcelで十分」と反対すると、Excelに依存したまま業務が構築されていくことになります。
管理部門の方から、社長への不平不満を聞くこともありますが、お金や時間といった資源を、適切に配分していく社長という立場からの意思決定においては、これはこれで正しいのだと思います。
規模が小さいうちから少しずつ改善を
規模が小さいうちは、Excelと紙を中心に据えても、お互いに顔が見えるコミュニケーションで間を埋めることができますが(不効率はそこまで感じない)、規模が大きくなるにつれて、お互いの顔が見えなくなり、Excelと紙の間を埋めるためのコミュニケーションコストがどんどん大きくなり、不効率と感じることが増えてきます。
このようなタイミングで、会社としても業務の見直しが重要な課題になり、システム化による効率化を図ろうとすることが多いです。
でも、規模が大きくなってからの見直しは、ビジネス上の制約や利害関係者も多く、その調整が非常に大変となります。
- 「自分の仕事はシステムに置き換え困難だ」
- 「システムにこの機能がないと使えない」
- 「この業務フローは変えられない」
Excelに代わるシステム化を進めようとした際には、このような声が間違いなく現場から上がってきて、非常に苦労するとともに、場合によっては進まなくなってしまうことも多いです。
規模が大きくなってからの改善は、改善に取り組むために多額の人件費がかかったり、改善が進まない場合には、不効率なまま業務が進むことでの負担(目に見えにくい人件費)が発生します。
このような状況を避けるためにも、規模が小さいうちから少しずつ改善をすることで、社内外の調整コストを低く抑えるとともに、会社の仕組みは常に変わる、ということを社内に浸透させておくことも重要と感じています。