今回は、株式会社の本店移転登記を自分一人でする方法についての記事です。
この記事を見れば、「株式会社」の本店移転の登記方法を自分でしようと考えている方には参考になります。
本店移転登記について、場合分けをして、たくさんの情報が記載されている記事はたくさんあるのですが、登記のことをよくわからない人には余計に難しく感じました。
この記事は、あえて株式会社の一番簡単なケースのみに絞って解説しようと思います。
本店移転登記を自分一人でするために必要な書類と注意点
以下の条件に該当する場合には、本店移転登記はとても簡単です。
- 会社の組織形態が「株式会社」であること
- 取締役会という組織が設置されていないこと(定款又は登記簿でわかります)
- 定款の本店住所に関する記載の変更が不要であること(定款でわかります)
- 現在登記されている法務局の管轄内での移転であること(法務局のHPでわかります)
この条件に該当する引っ越しの場合には、現在の管轄法務局に以下の3つの書類を提出するだけで、本店移転登記が可能となります。
1. 本店移転登記申請書
2. 収入印紙貼付台紙(30,000円の収入印紙を貼る/消印はしないこと!)
3. 取締役の決定書
※自分でするため委任状の作成もしません。
たったこれだけの書類ですので、時間としては60分もあれば十分にできます。誰かに依頼するよりも、知っていれば自分一人でしてしまう方が断然に早いです。
書類を用意して、あとは郵送するだけなので、収入印紙30,000円と郵送代の数百円で完了です。
ただし、自分でする際の注意点は「適切な印鑑の押印を確実にすること」になります。
仮に押印漏れや、押印が違っていた場合には、法務局から電話がかかってきて、法務局に出向いて書類の修正をすることになりますので、注意が必要となります。
本記事で解決できる本店移転に該当するかどうかの調べ方
1. 会社の組織形態が「株式会社」であること
こちらは会社名を確認してください。
自らの会社の組織形態は、必ず社名につける決まり(会社法第6条)となっていますので、ここを間違われる方はないかと思います。
2. 取締役会という組織が設置されていないこと
株式会社において、取締役会を設置している場合には、必ず定款と登記簿に取締役会設置会社である旨が記載されています。
このため、取締役会設置会社かどうかを確認するためには、定款か登記簿を見て確認することになります。
小規模な会社であれば、取締役会は設置されていないことが多いです。
3. 定款の本店住所に関する記載の変更が不要であること
定款には本店の住所が記載されています。
ただし、「大阪市北区梅田〇丁目〇番〇号」のような具体的な住所ではなく、「大阪市北区」という記載でも問題ありません。
もし定款に具体的な住所を記載している場合には、本店の移転に伴い、定款も変更する必要が出てきます。
また、具体的な住所が記載されていない場合でも、上記の例で言うと「大阪市北区」以外に引っ越す場合にも、定款変更が必要となりますので注意が必要となります。
定款の変更も必要な場合には、作成する書類が増えることになります。
4. 現在登記されている法務局の管轄内での移転であること
管轄の法務局内での移転であるかどうかは、法務局のHPから検索することが可能です。
なお、上記3の「定款の変更が不要」という条件を満たしている場合には、現在登記されている法務局の管轄内での移転と考えられるので、実質的な判定は不要となります。
これらに沿って、今回の本店移転がどのような条件に該当するのかを確認してみてください。
本店移転登記に必要な書類の準備方法
これまで記載した条件に該当するような本店移転の場合には、以下の3つの書類を用意するだけです。
こちらは、2020年11月に実際に使って登記申請を行った様式です。
1. 本店移転登記申請書
2. 収入印紙貼付台紙
※ 絶対に収入印紙に割印はしないでください(割印せずに法務局に郵送します)
3. 取締役の決定書
ダウンロードした上で、以下の手順で進めていきます。
「1.本店移転登記申請書」及び「3.取締役の決定書」に関しては、赤色の箇所を登記申請する会社名に変更し、新住所、旧住所など必要箇所を修正します。
3つのファイルを全て紙に印刷します(合計3枚となります)。
「1.本店移転登記申請書」には、「申請人」のところに「会社の実印」を押印します。
「2.収入印紙貼付台紙」には、郵便局で30,000円の収入印紙を購入し、貼り付けます。※繰り返しになりますが、絶対に収入印紙に割印をしないでください。
「3.取締役の決定書」には、代表取締役の方は「会社の実印」、他の取締役の方は「個人の認印」を押印します。
上から「1.本店移転登記申請書」、「2.収入印紙貼付台紙」、「3.取締役の決定書」の順に重ねて、書類の左側にホッチキスで2か所留めます。
書類に契印を押して、「本店移転登記申請書」の完成です。
3枚1セットとなった「本店移転登記申請書」を管轄の法務局に郵送して完了です。
まとめ
「登記」というと、とても手間がかかって面倒な印象があります。
今回は、株式会社の場合で、取締役会が非設置、定款に記載の住所の変更が不要、現在の管轄法務局内での本店移転という、一番シンプルなケースで解説しましたが、作成する書類はたった3枚となります。
これを基本パターンに、取締役会の議事録の作成が必要であったり、現在の法務局への申請書類に加えて、移転する法務局への申請書類が必要など、少しずつ複雑にはなりますが、毛嫌いせずにやってみると、意外と簡単だったります。
是非一度「登記」という分野も自分でしてみましょう!